解説の言語

解説は日本語。文法用語は英語のまま出します。 本番は「英語」★です。

Words in Context.

単語帳では、英語が問題で日本語の訳が答えでした。この分野は逆です。文が先にあって、そこに入る語の向きと強さを文のほうが指定します。991語のデッキが材料で、このページは、その材料の中から文に選ばせるための手順です。

辞書ではなく、文が決めます

この分野の問題は、どれも本文のどこか一か所で決まります。言い換え、対比、書き手が付け足した根拠——そのどれかが、選択肢を読む前に空所の意味を確定させています。手順は三つです。まず、空所(または問われている語)を指で隠します。次に、そこに何が入るかを、自分の知っているやさしい言葉で言います。このとき、意味の種類だけでなく、direction(向き=プラスかマイナスか中立か)intensity(強さ=どこまで言い切ってよいか)も一緒に決めてください。最後に、自分が言った内容の全部に合う選択肢だけを残します。一部にだけ合っていて残りと食い違う語が、この分野でいちばん多い誤答です。知らない語を推測する問題ではありません。知っている語のうちどれを文が要求しているかを決める問題です。

言い換えが近くにある2問

空所の内容を平易な言葉で言い直している部分を本文からさがし、それを丸ごと空所に書き入れます。言い直しが二つ以上に分かれているなら、最初に目についた部分だけでなく全部です。残すのは、その全部に向きも強さも合う語だけです。

対比の合図2問

何と何が向かい合っているかを先に決めます。far from ___ / rather than ___ のように空所自体が否定の内側にあるなら、入るのは本文が退けている側の内容です。合図の語がなくても、semicolon(セミコロン)で並ぶ同じ形の二つの節は対比です。

語の強さで決まる1問

大きさの上限を決めている部分(数字、または「作り直す必要はない」という但し書き)と、下限を決めている部分(yet や still で「それでも動く」と述べる箇所)を両方さがし、その内側に収まる語を選びます。

強さをそろえる1問

筆者が主張を抑えている箇所(hedge=上限)と、確かに何かはあると認めている箇所(そろった傾向、他研究との一致=下限)をさがし、その二つのあいだに収まる語を選びます。

根拠に合わせる1問

noting that … / because … / コロンの後ろなど、書き手が空所のすぐ隣に付けた根拠をさがし、それが何を証明しているかを選択肢のことばを使わずに自分の一言にします。その一言と同じことだけを言っている語を選びます。

向きと強さ1問

誰が実際に何をしたかという具体的な報告だけを見て、先に向きを決め、次にどこまで強くてよいかを決めます。向きが合っていても、報告されている以上に強い語はその場で消します。

二つ目の意味2問

見慣れた意味をいったん候補から外します。そのうえで、本文がその語をどう扱っているか——言い直しているか、誰に使っているか、ほめているのかどちらでもないのか——を確かめ、そこが許す意味だけを残します。

意味を文がしぼる2問

その語が何に働きかけているか、つまり object(目的語)にあたる語を押さえ、その相手について本文がどう書いているかを読みます。対比されているなら、打ち消されている中身の反対側に意味を置きます。

仲間分けでは見えない分かれ目7件)
  • この分野の選択肢は、四つとも同じ part of speech(品詞)で、四つとも空所に文法的に収まるように作られています。だから「形が合わない」という理由で消せる選択肢は一つもありません。消す根拠は必ず意味の側——向き、強さ、書き手が挙げた根拠との食い違い——にあります。
  • 設問文の most logical and precise(最も論理的で正確な)の precise は飾りではありません。意味の種類が合う語が二つ残ったときは、本文が示した範囲をはみ出さない、狭いほうが正解です。
  • 「語の強さで決まる」と「強さをそろえる」は、どちらも強さで決まりますが、上限を置いている場所が違います。前者では、数字や「モデルを作り直す必要はない」のように、出来事そのものの大きさが上限を決めます。後者では、筆者がどこまで言い切っているか、つまり hedge(限定表現)が上限を決めます。本文が測っているのが出来事の大きさか、筆者の確信かを先に見分けてください。
  • 「向きと強さ」は名前のとおり二段階で、先に向き、そのあとに強さです。向きの合う語が二つ以上残るように作ってあるので、向きだけで止めると必ず二択で迷います。
  • 「対比の合図」には、否定が空所そのものに届いている形(far from ___、rather than ___)と、届いていない形(but や yet のあとの空所)があります。同じ仲間に入れていますが、入る語の向きは正反対です。空所が否定の内側にあるかどうかを、毎回確かめてください。
  • 語義を問う四問を「二つ目の意味」と「意味を文がしぼる」に分けていますが、手順の前半は同じで、見慣れた意味をいったん外すところから始まります。違うのは決め手の置き場所です。「二つ目の意味」では、本文がその語をどう扱っているか(言い直し、適用範囲、良し悪しの色合い)が決めます。「意味を文がしぼる」では、その語が文の中でしている仕事(何に働きかけているか、何と対比されているか)が決めます。
  • 空所に付いている語句——is unusually ___ about what the grave goods mean の about 以下のような部分——は、本文のどこを判断材料にしてよいかを限定します。空所の一語だけを見て、その限定を落とさないでください。

日本語話者がハマる理由

英和辞典や単語帳で「一語=訳語一つ」で覚えてきた人は、語に付いている二つの情報を落としたまま覚えています。direction(向き=ほめているか、けなしているか、どちらでもないか)と intensity(強さ=どこまで言い切っているか)です。しかも日本語の訳語は漢字で意味の輪郭がはっきり見えるので、訳が空所に収まれば語も収まるように感じられます。その結果、訳を入れて「意味は通る」と確かめる解き方になり、四つのうち三つまでが同じように通ってしまって決められない、という止まり方をします。通るかどうかは、この分野では決め手になりません。だからこのサイトの991語のデッキは、全語に向き(プラス・マイナス・中立)と強さ(1〜3)を付けてあります。デッキが材料で、このページはその材料を文に照らして選ぶ手順です。

問題文と選択肢は、どの段階でも英語のままです。本番がそうだからです。


Words in Context文が語を決める)で扱うルール、12項目

帰国子女・インターナショナルスクール生のための、デジタルSAT の無料教材です。Words in Context の練習12問で出てくるルールを一覧にしました。解き終わったあとの復習や、 試験前の読み返しに。独学でも進められるように、ルールごとに確認のしかたをつけています。 12項目には「日本語話者がハマる理由」をつけています。日本語の文法や語順のどこが原因で、その誤答が自然に見えてしまうのかを説明します。

この分野ぜんたいに共通する、日本語話者がハマる理由

英和辞典や単語帳で「一語=訳語一つ」で覚えてきた人は、語に付いている二つの情報を落としたまま覚えています。direction(向き=ほめているか、けなしているか、どちらでもないか)と intensity(強さ=どこまで言い切っているか)です。しかも日本語の訳語は漢字で意味の輪郭がはっきり見えるので、訳が空所に収まれば語も収まるように感じられます。その結果、訳を入れて「意味は通る」と確かめる解き方になり、四つのうち三つまでが同じように通ってしまって決められない、という止まり方をします。通るかどうかは、この分野では決め手になりません。だからこのサイトの991語のデッキは、全語に向き(プラス・マイナス・中立)と強さ(1〜3)を付けてあります。デッキが材料で、このページはその材料を文に照らして選ぶ手順です。

  1. 01言い換えが近くにある

    空所の内容を、同じ文の別の場所が平易な言葉で言い直していることがあります。その言い直しを見つけた時点で、空所の意味は選択肢を読む前に確定します。手順は二段階です。まず、その平易な言い方を自分で空所に書き入れます。このとき、言い直しが二つ以上の部分に分かれているなら、最初に目についた部分だけでなく全部を書き入れてください。次に、書き入れた内容のすべてと、向き(プラスかマイナスか)も強さも一致する選択肢だけを残します。言い直しの一部だけに合っていて、残りの部分と食い違う語が、この形式でいちばん多い誤答です。あわせて空所の範囲も確かめます。about what the grave goods mean のように空所に付いている語は、本文のどの部分が判断材料になるかを限定します。

    確認のしかた:選択肢を手で隠したまま、colon(コロン)より後ろだけを読み、そこが述べている内容をいちばん平易な英語にして空所に書き込んでください。このとき片方ではなく両方を書きます(たとえば exact about the objects and the question, but won't give an answer)。そのうえで選択肢を開き、二つのうちどちらか一方にでも合わない語をすべて消します。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    Archaeologist Yusuf Demirel’s report on the Yalaz Höyük burials is unusually __________ about what the grave goods mean: he records each object by material and by the exact depth at which it lay, and he sets out precisely which question an interpretation would have to answer — who was buried at Yalaz Höyük — but offers no answer himself, deferring interpretation until the adjoining mound has been excavated.

    Which choice completes the text with the most logical and precise word or phrase?

    • A emphatic

      emphatic は「強く言い切る」で、向きが正反対です。コロンの後ろを見ると、副葬品の意味については but offers no answer himself とあり、さらに deferring interpretation until the adjoining mound has been excavated と続きます。意味については何一つ言い切っていません。言い切っていない相手を「強く言い切る」と表す語は入りません。空所の内容が同じ文の別の場所で言い直されている文では、その言い直しと向きが合うかどうかを見るだけで、選択肢の半分は消えます。

    • B(正解) guarded

      正解です。コロンの後ろが、そのまま空所の言い換えになっていて、しかも二つの部分に分かれています。一つ目は、記述も問いの立て方も精密だということです(he records each object by material and by the exact depth at which it lay、そして he sets out precisely which question an interpretation would have to answer)。二つ目は、それでも結論だけは出さないということです(but offers no answer himself)。guarded はこの二つを同時に表す語で、「材料はすべて出すが、判断は保留する」という意味です。選択肢を見る前に「精密だが、結論は言わない」と両方を空所に入れておけば、どちらの部分にも合うのは guarded だけだと分かります。片方にしか合わない語を消すのが、この形式の要点です。

    • C evasive

      evasive は「答えるべき問いをはぐらかす」で、書き手を非難する色がつきます。ところが Demirel は、自分が答えない問いを which question an interpretation would have to answer と precisely(精密に)自分で立て、who was buried at Yalaz Höyük とその中身まで書いています。そのうえで offers no answer himself と答えない旨を明言し、until the adjoining mound has been excavated と、どうなれば答えるのかという条件まで示しています。はぐらかす人は、答えない問いを自分から名指ししませんし、答えない条件も示しません。guarded と向きは同じですが、強さと評価が行き過ぎています。

    • D vague

      vague は「述べ方そのものがぼんやりしている」という意味です。ここで注意すべきなのは、空所が about what the grave goods mean と、意味の話に限定されていることです。ですから、副葬品そのものの記述が精密だというだけでは vague は消えません。それは意味ではなく物の話だからです。消えるのは、意味について書かれている部分もまた精密だからです。彼が意味について書いているのは、an interpretation would have to answer という問いを precisely(精密に)立てた部分と、offers no answer himself という明確な保留の二つだけで、どちらもぼやけた書き方ではありません。意味をぼかして述べているのではなく、述べること自体を控えています。ぼかすのが vague、控えるのが guarded です。

    日本語話者がハマる理由

    この文を日本語で言い直すと、たいてい「意味については、はっきり言っていない」あたりに落ち着きます。ところが日本語の「はっきり言わない」「曖昧だ」は、英語では別々の三語に分かれます。述べ方そのものがぼんやりしているのが vague、答えるべき問いをはぐらかしているのが evasive、材料は正確に出したうえで結論だけを差し控えているのが guarded です。「言葉を濁す」と言えば evasive に近づきますが、最初に頭に浮かぶ「はっきり言わない」は三つのどれにも訳し戻せてしまうため、和訳が合っている限りどれを選んでも合っている気がします。さらに英和辞典で guarded を引くと「慎重な」「用心深い」と出ることが多く、「はっきり言わない」という訳語とは結びつかないので、正解が候補から外れたままになります。分けるのは英文の側です。意味について書かれた部分が precisely と明示されていることが vague を消し、答えない問いを自分で立てて先送りの条件まで示していることが evasive を消します。残るのは guarded だけです。

  2. 02言い換えが近くにある

    空所の直後に colon(コロン)・dash(ダッシュ)・appositive(同格語句)が続き、その中身が空所に入る語の意味をそのまま述べていることがあります。そのときは、そこが答えの定義です。選択肢を読む前に、その定義を自分の言葉で一言にまとめ、それに当てはまる一語を選びます。話題に合う語でも、語感の良い語でも、空所の前の文に合う語でもなく、定義に合う語を選びます。

    確認のしかた:選択肢を指で隠し、コロンより後ろだけを読んで、その部分が何の定義になっているかを英語でも日本語でも一語で言ってから、選択肢を出して、その一語に当たるものを選んでください。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    Biologists long assumed that reef fish larvae simply drift wherever the current carries them. Following individual damselfish larvae through open water with divers and dye markers, marine biologist Mira Salcedo found the larvae's movement to be __________: the larvae swam steadily against the prevailing current, corrected course each time the flow shifted, and settled on the same reef their parents occupied.

    Which choice completes the text with the most logical and precise word or phrase?

    • A(正解) deliberate

      正解です。コロンの後ろは、空所に入る語の定義そのものです。prevailing current(ふだん流れている潮流)に逆らって泳ぎ、流れが変わるたびに進路を直し、親と同じ reef(サンゴ礁)に定着する。この三つは「自分で行き先を決めて動いている」という一つの内容を、行動で言い表したものです。それを一語にしたのが deliberate です。空所の語は、話題や語感ではなく、コロンの後ろが定義している中身で決まります。

    • B rapid

      rapid は速さを表す語ですが、コロンの後ろに速さを示す語は一つもありません。steadily は「絶え間なく、一定の調子で」という意味で、動きが途切れずに続いていることを表す語であって、速いことを表す語ではありません。定義になっている三項目(流れに逆らう・流れが変わるたびに進路を直す・親と同じ礁に定着する)は、どれも「どこへ向かっていたか」の話で、どれだけ速かったかには一言も触れていません。

    • C erratic

      erratic は「不規則で、予測がつかない」という語です。コロンの後ろは、その反対を述べています。corrected course each time the flow shifted は、流れが変わるたびに毎回同じ対応をしたということで、規則的な動きです。さらに settled on the same reef their parents occupied と、行き着く場所まで決まっています。行き先の決まっている動きを erratic とは呼びません。

    • D passive

      passive は、この研究が覆した側の考えです。第一文の simply drift wherever the current carries them(流れに運ばれるまま漂う)が passive の中身で、コロンの後ろはその正反対、swam steadily against the prevailing current(潮流に逆らって泳いだ)です。空所の語を決めるのは第一文ではなく、コロンの後ろの定義です。この文のように第一文が研究に覆された古い考えを述べているときは、そこを根拠に選ぶと、正解の反対の語をつかむことになります。

    日本語話者がハマる理由

    日本語の「:」は「担当:田中」のように見出しと中身を並べる記号で、文の途中で直前の一語の意味を定義する使い方をしません。そのため、コロンの後ろを「答えの定義が書いてある場所」として読む習慣がなく、目立つ第一文の drift に引っぱられて passive を選びやすくなります。もう一つは deliberate の訳語です。辞書で最初に出るのは「意図的な」「故意の」で、日本語のこれらの語は「意図的に無視する」「故意に隠す」のように、人がよくないことをわざとするときに使われることが多く、マイナスの含みを帯びています。そのため魚の泳ぎを表す語としては大げさに感じられ、中立に見える rapid や erratic に手が伸びます。英語の deliberate に非難の含みはなく、「自分で決めて、そのとおりに動いている」という意味で動物の行動にもそのまま使えます。

  3. 03対比の合図

    far from ___、rather than ___、instead of ___、not ___ but、anything but ___ のように、空所そのものが否定される形の中に空所があるときは、空所に入るのは本文が事実として述べている内容ではなく、本文が退けている側の内容です。まず、その否定が何と向かい合っているのかを見つけ、否定されていない側が主語について何を述べているかを自分の言葉で言い、その反対に当たる語を空所に入れてください。本文がすでに「こう誤解されてきた」と誤った見方を名指ししているなら、空所に入るのは、その誤解を一語で言い直した語です。本文の説明とそのまま同じ向きの語は、この否定がすでに消しています。ただし、否定が空所そのものに届いているかを先に確かめてください。but や yet のあとの空所は否定されず、そこに入るのは事実として述べられる側の内容なので、向きは逆になります。

    確認のしかた:選択肢を手で隠し、Far from に指を置いたまま、間に挟まっている Okonkwo concludes は飛ばして、these houses から文末までを読みます。そこが「これらの住宅は街をどう扱ったのか」と言っているのかを自分の言葉で一言にしてから、その反対に当たる語を空所に入れてください。今言ったことと同じ向きの語は入りません。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    Architectural historian Mariam Okonkwo argues that the courtyard houses of nineteenth-century Kano have long been misdescribed as fortresses turned away from public life. Her survey of household plans shows that the outer wall of each house carried a chain of benches, entry vestibules, and shaded platforms, and that families received traders, messengers, and neighbors there from dawn until the evening prayer. Far from __________ the street, Okonkwo concludes, these houses treated it as one more room of the household.

    Which choice completes the text with the most logical and precise word or phrase?

    • A accommodating

      accommodate は「受け入れる」で、本文がまさに述べているとおりの内容です。しかし空所の直前には far from があり、これは空所の中身をそのまま否定する形です。否定されているのは空所に入る語のほうで、本当だと言われているのは these houses から始まる main clause(主節)のほうです。本文は、外壁沿いのベンチや前室や日よけのある台で商人や使いの者や近所の人を夜明けから夕方の礼拝まで迎えていたと述べ、主節でも「街を家のもう一つの部屋として扱った」と述べています。ここに accommodating を入れると、本文が事実として述べている内容を far from が打ち消してしまい、主節と正面からぶつかります。なお far from ...ing は「ただ〜するどころではなく、もっと上を行く」という意味にはなりません。その意味にするには merely や simply のような語が必要で、この文にはありません。否定が空所に届いている以上、本文の説明と同じ向きの語は入りません。

    • B obstructing

      obstruct は「通行をふさぐ」で、厚い外壁を持つ住宅の話なので形のうえでは収まりそうに見えます。しかし本文には、人や荷が街路を通れたかどうか、道幅が狭まったかどうかという話が一行もありません。Okonkwo が正している誤解は "fortresses turned away from public life"、つまり公の場に背を向けた要塞だという読み方であって、通行の妨げだという読み方ではありません。far from が打ち消す相手は、本文が実際に挙げているこの誤解でなければならないので、本文に出てこない「通行をふさぐ」は入りません。

    • C(正解) shunning

      正解です。一文目は、これらの住宅が "fortresses turned away from public life"、つまり公の場に背を向けた要塞だと長く誤って説明されてきたと述べています。far from は空所の中身を否定し、these houses から始まる main clause(主節)のほうを本当だと言う形です。主節は「街を家のもう一つの部屋として扱った」なので、空所にはその反対、つまり街を避けるという内容が入ります。shun は「意図的に避ける、寄りつかない」で、一文目の誤解を一語で言い表しています。

    • D policing

      police は動詞で「見張って取り締まる」です。本文で外壁沿いのベンチや前室が果たしていた役目は、商人や使いの者や近所の人を迎え入れることであって、誰が通ってよいかを見張ったり立ち入りを制限したりすることではありません。門番や監視について本文は何も述べていません。far from は、本文が否定している内容を空所に呼び込む形なので、本文がそもそも取り上げていない「取り締まり」を入れることはできません。

    日本語話者がハマる理由

    far from は辞書で「〜には程遠い」と覚えることが多い語です。「程遠い」は目標にどれだけ届いていないかを測る言い方なので、「まだ十分ではない」という弱めた意味に読めてしまいます。その読み方だと、accommodating(受け入れる)のように本文と同じ向きの語を入れても「まだ十分には受け入れていない」と解釈でき、住宅は受け入れる側に残ったまま文が通るように見えます。しかし英語の far from ...ing は程度を弱める形ではなく、その内容をきっぱり否定して反対を主張する形で、日本語では「〜どころか」に当たります。もう一つ、この問題では gloss(訳語)の重なりが効きます。日本語の「受け入れる」は英語の receive と accommodate の両方を覆うので、本文の「received traders, messengers, and neighbors」を読んだ生徒には accommodating が本文に出てきた語そのものに見え、「本文が支えている語」として選びたくなります。far from がある空所では、本文が支えている語こそが入らない語です。

  4. 04対比の合図

    対比は however のような transition(つなぎ言葉)がなくても、文の形だけで作られます。semicolon(セミコロン)で区切られ、subject(主語)が違い、同じ種類の性質について述べている二つの節が同じ形で並んでいたら、その二つは対立させられています。空所に入るのは、もう一方の節が述べている性質の反対側の語です。手順は二つあります。まず相手の節がどの軸で述べているか(変動の大きさか、速さか、規模か)を決め、その軸に乗っていない語を落とします。その対象について言えば正しい語でも、軸が違えば落とします。次に、その軸の反対の端に選択肢が二つ以上残ったら、語の向き(ほめているか、けなしているか、中立か)を見て、本文がその性質を扱っている向きと食い違うものを落とします。most precise な語とは、軸と向きの両方が本文と合う語のことです。

    確認のしかた:4つの選択肢を指で隠してください。まず、セミコロンのもう一方の節にある「その会社の収益がどう動いたか」を述べた部分、record profits in one year and heavy losses in the next に線を引き、その反対を自分の言葉で声に出して言います。次に、選択肢を隠したまま、その動き方が会社に何をもたらしたかを述べた部分、carrying Ainsworth through the panic of 1857 に線を引き、それが良いことなのか悪いことなのかを声に出して言います。そこまで言い終えてから選択肢を出し、自分が言った二つの両方に合う語を選びます。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    Economic historian Miriam Vasquez compares the account books of two Liverpool cotton brokers in the 1850s. Over the decade the two firms earned nearly identical sums. What separated them was the path each took to that total: Hale and Sons, which dealt chiefly in futures, posted record profits in one year and heavy losses in the next; the earnings of Ainsworth and Company, which handled only cargo already unloaded on the docks, were __________. Vasquez credits that difference, not any edge in size, with carrying Ainsworth through the panic of 1857.

    Which choice completes the text with the most logical and precise word or phrase?

    • A erratic

      erratic は「不規則に大きく振れる」という意味で、これはセミコロンの左側、Hale and Sons についての説明そのものです。左右の節は posted record profits in one year and heavy losses in the next と the earnings of Ainsworth and Company … were ___ という同じ形で並んでおり、同じ性質について反対のことを述べる位置関係にあります。ここに相手と同じ語を入れると、前の文の What separated them was the path each took to that total(二社を分けたのは総額に至る道筋だった)と食い違います。

    • B(正解) steady

      セミコロンの左側は、Hale and Sons の収益が年によって過去最高の利益から大きな損失まで振れたことを述べています。右側は同じ形で Ainsworth and Company の収益を述べる節なので、左側と反対の内容になります。振れ幅が大きいことの反対は、年ごとに水準がほとんど変わらないことです。ここまでが手順の一つ目、軸の判断です。二つ目の向きも確かめます。本文は Vasquez credits that difference … with carrying Ainsworth through the panic of 1857 と述べ、この動き方を会社を救ったものとして扱っています。steady は落ち着いて安定しているという良い向きの語なので、軸も向きも本文と合います。

    • C stagnant

      stagnant は「動かない」という意味で、軸は steady と同じです。軸が同じ二語が残ったら、決めるのは語の向きです。本文は Vasquez credits that difference … with carrying Ainsworth through the panic of 1857 と述べ、この動き方こそが1857年の恐慌を乗り切らせたとしています。つまり本文はこの性質を会社の強みとして扱っています。stagnant は「伸びずに行き詰まっている」という批判を含む語なので、向きが本文と逆です。理由はもう一つあります。本文が述べているのは「年ごとに大きく振れなかった」ことだけで、「少しも伸びなかった」ことではありません。steady は少しずつ伸びた場合にも使えますが、stagnant は伸びていないと言い切る語です。本文が言っていないところまで踏み込む語は、most precise な語にはなりません。

    • D substantial

      substantial は金額の大きさを述べる語で、年ごとの変動という軸の語ではありません。しかも本文は二社が nearly identical sums を稼いだと述べ、Vasquez も not any edge in size と規模の差をはっきり否定しています。この文の二つの節が突き合わせているのは総額の大小ではなく、同じ総額に至る年ごとの動き方です。本文について正しいかもしれない語でも、その文が測っている軸と違えば選べません。

    日本語話者がハマる理由

    日本語は対比の印を助詞の「は」で名詞そのものに付けられます。「ヘイル社は…、エインズワース社は…」と書けば、つなぎ言葉がなくても二つが対立していることが語の形として目に見えます。英語のこの文には「は」に当たる印がなく、対比を示しているのはセミコロンで区切られた二つの節が同じ形で並んでいることだけです。そのため日本語の読み方のまま進むと、セミコロンを「そして」と受け取り、前の節に足す内容を探して、同じ方向の erratic を選びやすくなります。もう一つの落とし穴は stagnant です。英和辞典や単語帳の訳語では、steady も stagnant も「変わらない」「横ばい」と訳が重なります。stagnant に入っている「伸びずに行き詰まっている」という否定的な判断は、この訳語には現れません。つまり日本語の訳だけを覚えていると、二語の差がちょうど消えてしまいます。訳が重なる二語が選択肢に並んでいたら、意味だけでなく語の向き(プラス・マイナス)まで本文と一致しているかを必ず確かめてください。

  5. 05語の強さで決まる

    選択肢の direction(語の向き=よい意味か、わるい意味か、中立か)がそろっていて、違いが intensity(語の強さ)だけ、という問題があります。この場合、どの強さが正しいかは必ず本文が指定しています。大きさの上限を決める部分(数字、または「〜を作り直す必要はない」のように、起きてもおかしくない変化が起きなかったと述べる部分)と、下限を決める部分(yet や still で始まり「それでも〜は動く」と述べる部分)を両方さがし、その二つの内側に収まる語を選びます。意味の種類が合っていても、上限を超える語、下限に届かない語は誤りです。

    確認のしかた:選択肢を見る前に、本文が大きさに与えている二つの制限に鉛筆で印を入れてください。上限は by less than one percent と no model of galactic structure needs rebuilding、下限は yet large enough to move the calculated distances … の部分です。そのうえで空所の横に「ゼロではない・大きくもない」と書き、選択肢を一つずつ空所に入れて、どちらかの印に反する語を消してください。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    The luminosity of a Cepheid variable star can be read off its pulsation period, a relationship astronomers use as a yardstick for distances beyond the Milky Way. Drawing on six years of observations, astronomer Nadia Ferreira has revised the constant at the center of that relationship by less than one percent. The shift is small enough that no model of galactic structure needs rebuilding, yet large enough to move the calculated distances to the nearest spiral galaxies by tens of thousands of light-years. Ferreira accordingly describes her result as a __________ correction to an established tool.

    Which choice completes the text with the most logical and precise word or phrase?

    • A negligible

      negligible は「小さい」ではなく「計算に入れなくてよいほど小さい」と言い切る語です。本文は yet large enough to move the calculated distances to the nearest spiral galaxies by tens of thousands of light-years と書き、この修正が距離の計算結果を実際に動かすと述べています。無視してよい量なら、定数を書き替える意味がありません。この yet の部分が下限を決めており、negligible はその下限に届きません。

    • B(正解) modest

      正解です。本文は変化の大きさを両側から挟んでいます。上限は by less than one percent と small enough that no model of galactic structure needs rebuilding、下限は yet large enough to move the calculated distances … by tens of thousands of light-years です。上限より小さく、下限より大きい語、つまり「実際にあるが限られている」を表す語が入ります。それが modest です。4つの選択肢はどれも変化の大きさを表す語で、向きは同じ、違うのは強さだけです。このタイプでは意味の種類ではなく、本文が指定する強さの範囲で選びます。

    • C substantial

      substantial は「量として大きい」という意味です。本文の数字は by less than one percent で、そのうえ no model of galactic structure needs rebuilding と続きます。1パーセント未満で、どのモデルも作り直さずに済む修正を「量として大きい」とは言えません。ここでは数字がそのまま上限になっています。

    • D sweeping

      sweeping は「広い範囲に及ぶ」という意味で、枠組み全体が入れ替わるときに使う語です。ここで動いたのは an established tool の中の定数ひとつで、周期と光度の関係そのものは残っています。no model of galactic structure needs rebuilding が、変化の及ぶ範囲の狭さを示しています。substantial が量の大きさで外れるのに対し、sweeping は及ぶ範囲の広さで外れます。外れ方が違うので、除外の根拠も別々に確かめてください。

    日本語話者がハマる理由

    modest は中学・高校で「謙虚な」と教わる語なので、大きさを表す用法がそもそも頭に浮かばず、正解の候補から先に落ちてしまいます。もう一つは辞書の訳語です。英和辞典は negligible を「ごくわずかな」、modest を「わずかな」と訳すため、日本語だけを見ると差は「ごく」の一字しかなく、どちらも「小さい」に丸められます。しかし英語の negligible は「小さい」ではなく「計算に入れなくてよい」と言い切る語で、本文の yet large enough to move the calculated distances … とは両立しません。substantial と sweeping も「大幅な」という共通の訳語を持ちますが、substantial は量の大きさ、sweeping は及ぶ範囲の広さを指します。訳語が同じ語どうしは、訳語では分けられません。本文が指定する強さと範囲で分けてください。

  6. 06強さをそろえる

    空所に入る語の強さは、その文章が自分でどこまで言い切っているかで決まります。話題に合う語のうち最も強いものでも、最も慎重なものでもありません。選択肢を見る前に、本文から二か所を探してください。一つは筆者が主張を抑えている箇所、つまり hedge(限定表現)です。まだ消せていない別の説明、cannot や not yet のような語、追加調査の要求がこれにあたり、ここが強さの上限になります。もう一つは、筆者が「確かに何かはある」と認めている箇所です。ばらつきなくそろった傾向、他の研究との一致、調査を続ける理由がこれにあたり、ここが下限になります。正解は、この上限と下限のあいだに収まる語です。上限を超える語は言い過ぎであり、下限を下回る語は本文が認めた証拠を捨てることになります。そもそも強さを表す語でないものは、たいてい下限の箇所と正面から食い違います。上限と下限を先に決める作業が、語を選ぶ作業より先に来ます。

    確認のしかた:選択肢を隠してください。まず、この証拠にまだできないことを述べている部分に線を引きます(ここでは one season of data — however consistent the pattern across the markets — cannot separate the stations from the weather です)。次に、すでに示せていることを述べている部分にも線を引きます(ここでは The drop appeared in eleven of the twelve markets and matched the figure smaller trials in other cities had reported です)。空所の横に、上限と下限を表す短い横線を二本書いてください。そのあとで選択肢を開き、上限を超える語、下限を下回る語、下限の内容と逆のことを言う語を、すべて消します。残るのは一語です。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    After the city of Rensal installed free handwashing stations at its twelve open-air food markets, epidemiologist Nadia Okonkwo recorded a six percent drop in reported gastrointestinal illness the following summer. The drop appeared in eleven of the twelve markets and matched the figure smaller trials in other cities had reported. But that summer was unusually cool and dry, and one season of data — however consistent the pattern across the markets — cannot separate the stations from the weather. Okonkwo therefore calls the result __________ and has asked the city to fund a three-year trial.

    Which choice completes the text with the most logical and precise word or phrase?

    • A conclusive

      conclusive は「これで決まり」という、選択肢の中で最も強い語です。ところが文章自身が cannot separate the stations from the weather と述べ、その夏の天候という別の説明をまだ消せていないと認めています。さらに Okonkwo は3年間の試験調査への出資を市に求めています。結論が出たと考えている研究者が、同じ調査をやり直す費用を求めることはありません。文章が自分で抑えている主張より強い語は、内容にどれだけ合っていても選べません。

    • B(正解) suggestive

      正解です。空所の直前の一文は however consistent the pattern across the markets と、市場をまたいで傾向がそろっていること自体は認めています。減少は12市場のうち11市場で現れ、他都市の小規模調査の数値とも一致しているので、何も起きていないとは言えません。これが下限です。その一方で、その夏は例年になく涼しく乾燥しており、cannot separate the stations from the weather と書かれているとおり、手洗い設備の効果だとはまだ確定できません。これが上限です。この上限と下限のあいだ、つまり結論の方向を指し示すが確定はさせない強さを表す語が suggestive です。

    • C negligible

      negligible は「無視してよいほど小さい」という語で、強さが逆の端まで振り切れています。ところが同じ一文が however consistent the pattern across the markets と、市場をまたいでそろった傾向があること自体は認めています。減少は12市場のうち11市場で現れ、他都市の調査の数値とも一致し、しかも Okonkwo は3年間の試験調査への出資を市に求めています。無視してよい効果のために3年分の費用を求める研究者はいません。強さを下げる方向は正しくても、下限より下まで下げてはいけません。

    • D anomalous

      anomalous は「他のデータや予想と食い違っている」という意味です。この文章はむしろ逆で、減少の幅は matched the figure smaller trials in other cities had reported と書かれ、空所の直前の一文も however consistent the pattern across the markets と、市場をまたいでそろっていることを認めています。まだ決まっていないのは結果の大きさや他の研究との合い方ではなく、その原因が手洗い設備なのか天候なのかという点です。強さ以前に、意味そのものが文章と合いません。

    日本語話者がハマる理由

    英語では、どこまで言い切るかを形容詞そのものが背負います。conclusive・suggestive・negligible は同じ一つの結果を指しながら、強さだけが違う語です。日本語は強さを文末の述語で表します。「効果があった」「効果があったと考えられる」「効果があった可能性がある」のように語尾で調整するので、一語の形容詞から書き手の確信の度合いを読み取る習慣がありません。そのため、11市場で減少という中身の強さにつられて conclusive を選んでしまいます。もう一つ、suggestive は研究の文脈なら「示唆に富む」と訳せる語ですが、単語帳や辞書で先に目に入るのは「暗示的な」「思わせぶりな」のほうです。そのため、研究の結果を述べる語には見えず、正解なのに手が伸びません。英語の suggestive は論文でそのまま使う語で、「結論を指し示すが確定はさせない」という強さを表します。

  7. 07根拠に合わせる

    この形の空所は、本文の話題では決まりません。決めるのは、書き手が空所のすぐ隣に根拠として付け足している一続きの部分です。noting that … / because … / コロンのあと / 直後の一文、といった形で必ずどこかにあります。選択肢を見る前にその部分を探し、そこが何を証明しているのかを、選択肢のことばを使わずに自分の一言にしてください。そのうえで、その一言と同じことだけを言っている語を選びます。選択肢には、本文を読めば事実として正しい語がいくつも混じります。正解は「本文に照らして正しい語」ではなく「書き手が挙げた根拠を言い直した語」です。

    確認のしかた:四つの選択肢を手で隠したまま、根拠を述べている部分だけを読みます(ここでは noting that のあとです)。読み終えたら「この辞書は □□ だ」の □□ を、選択肢のことばを使わずに自分の一言で埋めて、声に出して言ってください。ここでは「取りこぼしがない」です。それから手をどけて、その一言と同じことを言っている語を選びます。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    Linguist Mireille Sandoval spent nine years compiling a dictionary of Zafal, a language with roughly six hundred remaining speakers. Instead of eliciting isolated words from a few volunteers, she recorded entire conversations in markets, kitchens, and fishing boats, entering each word together with the exchange it came from. One reviewer, setting the finished volume beside the brief word lists published in the 1970s, concluded that Sandoval’s dictionary is __________, noting that it records senses of everyday verbs that no earlier study had listed at all.

    Which choice completes the text with the most logical and precise word or phrase?

    • A accessible

      accessible は「使いやすい、近づきやすい」という意味で、辞書について言える語です。本文には everyday verbs(日常的に使う動詞)とあり、材料も市場や台所や漁船での会話なので、やさしくて引きやすい辞書という印象を受けます。しかし書評家が根拠として挙げているのは noting that 以下の一文だけで、そこに書かれているのは「それ以前のどの研究にもまったく載っていなかった語義まで収めている」ということです。これは中身にどれだけ入っているかの話で、引きやすさの話ではありません。本文には、この辞書を引く人も、引きやすさについての記述も一度も出てきません。

    • B concise

      concise は「短くまとめてある」という意味で、辞書をほめる語としてよく使われます。ただしこの文で書評家がしているのは、the finished volume(完成した一冊)を 1970 年代の brief word lists(短い単語リスト)と並べて見比べる、という作業です。短いのは比べられている側の古いリストの方で、Sandoval の辞書は、そこに載っていなかったものまで収めている側です。短くまとまっていることをほめる語をここに入れると、本文の比較が逆向きになります。

    • C(正解) exhaustive

      正解です。書評家が根拠として挙げているのは noting that 以下、it records senses of everyday verbs that no earlier study had listed at all、つまり「それ以前のどの研究にもまったく載っていなかった日常動詞の語義まで収めている」という一点です。これを自分のことばにすると「取りこぼしがない」になります。exhaustive は study や survey や record のように調べてまとめたものについて「調べ尽くしていて抜けがない」と言う語で、この一点だけをそのまま言い直しています。

    • D preliminary

      preliminary は「本格的なものの前段階の、暫定的な」という意味で、語彙集や報告書についてよく使う語です。そして本文には、まさにその前段階にあたるものが出てきます。1970 年代の brief word lists です。しかし空所が言われているのは Sandoval の辞書の方で、本文はこれを nine years かけて作られた the finished volume(完成した一冊)と呼び、しかも以前の研究に欠けていたものを補う側に置いています。前段階なのは比べられている古いリストであって、この辞書ではありません。

    日本語話者がハマる理由

    exhaustive は、単語帳では exhaust(使い果たす・疲れさせる)の派生として覚えることが多く、exhausted(疲れ果てた)や exhausting(疲れる)と同じ仲間に見えます。そのため、本をほめる語の候補から最初に外してしまいがちです。exhaustive だけは向かう先が人の疲れではなく調べた中身で、「汲み尽くしていて取りこぼしがない」という意味になります。逆に concise は、日本では『コンサイス英和辞典』のように辞書の名前として耳になじんでいて、「辞書をほめる語」として刷り込まれています。日本の辞書は簡潔で引きやすいことをほめるのが普通なので、The dictionary is concise が正解の形に見えてしまいます。英語の concise は「短くまとめてある」という意味しか持たず、この本文で短いのは比べられている 1970 年代のリストの方です。訳語の印象ではなく、その語が何を証明する語なのかで選んでください。

  8. 08向きと強さ

    most logical and precise word(最も論理的で正確な語)を選ぶ問題では、四つの選択肢を四つの別々の意味と考えないでください。一本の目盛りの上に並んだ四点です。そのうち二つ以上は向きが同じで強さだけが違い、残りは反対向き、またはどちらでもない語です。文章には必ず、誰が実際に何をしたか、数字、引用といった具体的な報告があり、それが二つのことを同時に決めています。入る語の向き(プラスかマイナスか)と、どこまで強くてよいかです。選択肢を読む前に、その具体的な報告だけから向きと強さを決めてください。向きが合っていても、文章が報告している以上に強い語は誤りです。向きが違う語と同じように、その場で消します。

    確認のしかた:選択肢を手で隠します。人が実際に何をしたかを報告している一文(書き手のまとめではなく、行動・数字・引用が書いてある文)に鉛筆を当て、声に出して二つだけ言ってください。プラスかマイナスか、そして強さは1か2か3か。それから選択肢を開き、その符号とその数字を持つ語を一つだけ残します。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    Glaciologist Teodora Ilunga reported that the layer of wet clay beneath a Patagonian glacier creeps about twice as fast in winter as in summer, a result that reverses what standard models of glacier movement predict. At first the specialists who study glacier beds were __________. Within a year three laboratories had set aside other work to repeat her measurements, and each published a paper that questioned her interpretation while calling her fieldwork careful.

    Which choice completes the text with the most logical and precise word or phrase?

    • A hostile

      hostile は「敵意のある」で、相手の仕事や相手自身を攻撃する側に立つ語です。強さで言えばマイナスの3に当たります。しかし本文の三文目は、三つの研究室が出した論文について questioned her interpretation while calling her fieldwork careful と述べています。解釈には疑問を出したが、現地調査のやり方は careful(丁寧だ)と書いている、ということです。否定されているのは結論の読み方だけで、Ilunga の仕事も本人も攻撃されていません。向きはマイナスで合っていますが、本文が報告している行動より強い語なので入りません。

    • B indifferent

      indifferent は「関心がない」で、プラスでもマイナスでもない位置の語です。本文の三文目は、三つの研究室が set aside other work(ほかの仕事を中断して)、一年のうちに Ilunga の測定をやり直し、それぞれ論文まで出したと述べています。ほかの仕事を止めて追試をするのは、関心がないときに取る行動ではありません。書かれている行動そのものが indifferent を消します。

    • C(正解) skeptical

      正解です。向きと強さを決めているのは三文目で、そこに三つのことが同時に書かれています。一年のうちに測定をやり直した(=関心はある)。論文で questioned her interpretation と、彼女の解釈に疑問を出した(=向きはマイナス)。それでいて calling her fieldwork careful と、現地調査は丁寧だと評価している(=攻撃ではない)。疑いはあるが相手を否定はせず、確かめる価値があると見ている——この位置に当たる英語が skeptical です。マイナスの2、つまり「認める前に証拠を求める」段階を表します。疑いが向けられた理由は一文目にあり、この結果が standard models of glacier movement(氷河の動きについて定説となっているモデル)の予測を覆すものだからです。

    • D enthusiastic

      enthusiastic は「乗り気で歓迎している」で、向きはプラスです。しかし本文では、三つの研究室が出した論文はいずれも her interpretation に疑問を出しています。測定をやり直したこと自体を「関心の高さ=歓迎」と読んでしまいがちですが、追試は主張を確かめるための行動であって、認めたという意味ではありません。論文の中身がマイナス向きである以上、プラスの語は入りません。

    日本語話者がハマる理由

    この場面を日本語で書けば「批判が相次いだ」です。日本語の「批判」は、理由を示した反論から敵意のある攻撃までを一語で覆い、新聞でも「批判が集まった」と、強さを示さないまま使われます。そのため、三つの研究室が反論の論文を出したという事実を日本語に直した時点で、頭の中の語は「批判=強い否定」の側に寄り、選択肢では hostile が合って見えます。単語帳の作りも同じ方向に働きます。英単語に日本語の訳語を一つ当てる形式では、skeptical=懐疑的、hostile=敵対的、と意味は書かれていても、どちらがどれだけ強いかは書かれていません。だから「意味が合うか」では選べても、「強すぎないか」では選べないのです。英語は向き(プラスかマイナスか)と強さ(1から3)を別々の語に割り当てていて、この問題が問うているのは強さのほうです。日本語の一語に戻さず、本文が報告している行動——ほかの仕事を止めて追試をした、解釈に疑問を出した、しかし fieldwork は careful だと書いた——の強さに合う語を選んでください。

  9. 09二つ目の意味

    「本文中の X の意味に最も近いものは」と聞かれたとき、その語の一番よく知られた意味は候補の一つにすぎず、初めから答えではありません。語を指で隠し、その位置に自分の言葉で何が入るかを言い、そのうえで本文の残りがそのまま成り立つ意味だけを残します。それでも二つの意味が残ったときは、本文が同じ内容をもう一度別の言い方で述べている場所を探してください。colon(コロン)や dash(ダッシュ)の後ろ、あるいは続く節がそれに当たります。選ぶのは辞書ではなく、その言い直しのほうです。

    確認のしかた:その語を指で隠し、空所だと思って文を読んで、自分ならそこに入れる簡単な語を声に出して言い、そのあと colon(コロン)の後ろにある「成長がどれだけ残っているか」を述べた部分に線を引いて、その両方に合う選択肢だけを残してください。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    Petrologist Naomi Ferrar studies porphyritic basalt, a rock in which a few large crystals sit in a mass of grains too small to see without a lens. Ferrar points out that such a rock is the product of two separate coolings. The large crystals grow over centuries in a magma chamber kilometers underground, where the surrounding melt gives up its heat slowly. When the magma finally erupts, the melt loses the rest of its heat at the surface within hours, and the growth of the large crystals is arrested: they add no more material, and whatever width each one had reached underground is the width it carries in the finished rock. The fine grains around them crystallize later, during those few hours at the surface. As used in the text, what does the word “arrested” most nearly mean?

    • A Taken into legal custody

      arrest の最もよく知られた意味ですが、ここで arrested されているのは the growth of the large crystals、つまり結晶が大きくなるという現象であって、人ではありません。しかも同じ文が、それを終わらせたのは the melt loses the rest of its heat at the surface within hours、すなわち熱が失われたことだと述べています。誰かが捕らえたのではありません。語の一番有名な意味は、本文がそれを許すときにだけ答えになります。

    • B Slowed but still continuing

      この選択肢を消すのは colon(コロン)の後ろです。they add no more material とあり、さらに地下で達した幅がそのまま完成した岩石での幅になる、と書かれています。速度が落ちただけなら、地表で冷えていく数時間のあいだに幅はわずかでも増え、地下での幅と最終的な幅は一致しなくなります。本文は止まったかどうかだけでなく、どこまで止まったかまで指定しています。

    • C(正解) Brought to a complete stop

      正解です。arrested の位置を隠して読むと、文が必要としているのは「成長が終わる」という内容だと分かります。コロンの後ろがそれを裏づけていて、結晶はもう材料を加えず、地下で達した幅がそのまま最後の幅になります。完全に止まったと言い切れるのは、この二つの記述があるからです。

    • D Captivated by something striking

      arrest には「心を奪う」という意味もあります。ただしその使い方で arrested される側は、心を奪われる人のほうです。a view arrested her(景色が彼女の心を奪った)から she was arrested by the view(彼女は見とれた)となるように、主語に立つのは人です。本文で is arrested の subject(主語)になっているのは the growth of the large crystals、つまり結晶が大きくなるという現象であって、人ではありません。本文に出てくる人物は Ferrar ただ一人で、彼女は結晶に見とれているのではなく、成長がいつ終わり、その結果どの幅で残るのかを説明しています。

    日本語話者がハマる理由

    日本の単語帳では arrest の見出し訳がほぼ「逮捕する」一本で、しかも漢字の「捕」が人を捕らえる意味を持つため、この語は人にしか使えないように感じられます。練習する形も be arrested=「逮捕される」という passive(受動態)がほとんどなので、is arrested という形を見た瞬間に A に手が伸びます。もう一つの落とし穴は B です。ここでの arrested を日本語にすると「抑えられる」「妨げられる」あたりが自然ですが、日本語のこれらの語は、完全に止まったのか勢いが弱まっただけなのかを区別しません。だから「成長が抑えられた」と訳した時点で、B も C も同じように正しく見えてしまいます。訳した日本語ではなく、コロンの後ろの they add no more material で決めてください。

  10. 10二つ目の意味

    本文での語義は、その語のいちばん見慣れた意味ではなく、本文がその語にさせている仕事で決まります。選択肢を読む前に、本文の側で三つを確かめてください。その語が誰に・何に対して使われているか。一つがどれだけ続くものとして書かれているか。そして周りの文がそれをほめているのか、けなしているのか、どちらでもないのか。そのうえで、この三つが許す以上のことを主張している選択肢を落とします。とくに、日常では悪い意味で使う語でも、本文がその connotation(語に付く良し悪しの色合い)を出していなければ、悪い評価を含む選択肢は残せません。本文が下していない判断を、語の見慣れた意味から足してはいけません。

    確認のしかた:選択肢を手で隠したまま、本文にはこの語について二つだけ聞いてください。「誰に対して使われているか」と「一つがどれだけ続くか」です。まず、clerks が faction を使っている相手に下線を引きます。governor の supporters にも critics にも線が引けます。次に、どれだけ続くかを探します。clerk は法案ごとに新しい faction を記録に書き入れた、とあります。両側に使える語は、片方を名指しできません。法案ごとに立て直される語は、続いていく組織を指せません。出欠を記録するのと同じ調子で書かれた語は、誰も非難していません。選択肢を開く前に、三つが消えます。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    Historian Leah Okonkwo cautions readers of colonial assembly records against carrying a modern word back into them. Eighteenth-century Massachusetts clerks noted that a bill had passed “with the faction” or “against the faction” in the same flat, procedural tone they used to record attendance, and they applied the term to the governor’s supporters as readily as to his critics. Such a grouping had no officers, no membership roll, and no name; a clerk entered a new faction for every bill, and the same member might stand with the faction on one bill and against it on the next. As used in the text, what does the word “faction” most nearly mean?

    • A a political party with formal officers and members

      本文は、そのまとまりに officers も membership roll も name も「なかった」と三つ並べています。これは political party(政党)が必ず持つものです。さらに、clerk は法案ごとに新しい faction を記録に書き入れた、とも書かれています。毎回立て直されるものには、組織として続いていく中身がありません。訳語の「党派」に引かれてこれを選ぶと、本文がわざわざ並べた三つの「ない」と、法案ごとに立て直されるという一文の両方を読み落とすことになります。

    • B a group united in opposition to those in power

      clerks は、この語を governor の supporters にも critics にも同じように使った、と本文にあります。もし faction が「権力の側に対抗する集団」を指す語なら、governor の支持者を指して使えるはずがありません。使われる相手が両側にまたがっている以上、この語は立場の片方を名指ししていません。「against the faction」という記録だけを見ると、faction が反対勢力の名前のように見えますが、その直後の一文がその読み方を閉じています。

    • C(正解) a set of members who voted the same way on a given question

      正解です。clerk は法案ごとに新しい faction を記録に書き入れた、と本文にあります。つまり faction は、その一つの法案で同じ方向に投票したまとまりを指しています。だから同じ議員が、ある法案では faction の側に立ち、次の法案では反対側に立つことになります。続いていく組織でもなければ、決まった片側でもありません。数えるための語であって、評価を含みません。

    • D a self-serving group that put its own interest above the colony's

      これは faction が現代英語で持つ意味で、辞書の一番上に近い意味でもあります。しかし本文の clerks は、出欠を記録するのと同じ flat, procedural tone(抑揚のない事務的な調子)でこの語を書いています。非難であれば、記録の調子にそれが出ます。さらに、法案ごとに立て直されるまとまりには、「自分たちの利益」と呼べるものが続きません。冒頭でも historian が「現代の語をそのまま過去の記録に持ち込むな」と述べていて、この選択肢はまさにその持ち込みです。本文が一度も下していない評価を、語の見慣れた意味から足してしまった形です。

    日本語話者がハマる理由

    faction の辞書訳は「派閥」です。日本語の「派閥」は政治の話では最初から否定的で、「派閥政治」「派閥争い」のように、自分たちの利益で動く集団という評価が語に含まれています。「徒党」「党派」も同じで、「徒党を組む」は非難の言い方です。だから faction を見た瞬間に、意味だけでなく悪い評価まで一緒に読み込んでしまい、D が正しく見えます。英語の faction は評価を含まずに「一緒に投票する一団」を指すことができ、本文の clerks はその中立の意味で使っています。もう一つは「党」の字です。「政党」と「党派」が同じ字を共有するため、party と faction の違いが訳語の上では消えてしまい、A も同じくらいもっともらしく見えます。英語では party は officers と membership roll を持つ組織を指し、faction はそれを持ちません。

  11. 11意味を文がしぼる

    多義語の意味は、辞書で最初に覚えた語義ではなく、その文の中で担っている仕事で決まります。手順は四つです。①その語が何に働きかけているか、つまり object(目的語)にあたる語を押さえる。②その相手について本文がどう書いているかを探す。③選択肢を見る前に、その語の代わりに何を置けばこの文が成り立つかを、自分の知っているやさしい一語で言う。④同じ仕事をしている選択肢だけを残す。選択肢のうち二つが、どちらもその語の実在する語義であることは珍しくありません。実在するかどうかは決め手になりません。決め手は、この文が求めている仕事をしているかどうかだけです。

    確認のしかた:選択肢を手で隠し、その語が働きかけている相手(ここでは the two clicks)に指を置いて、その相手に何が起きれば本文の話が成り立つのかを、自分の知っているやさしい一語で声に出して言ってください。それから選択肢を開き、その一語と同じ仕事をしているものだけを残します。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    Auditory neuroscientist Priya Raghunathan studies a limit that has been measured for a century: when two brief clicks are played less than about two milliseconds apart, listeners hear a single sound, and when the gap is widened slightly, the same listeners hear two. Whether the ear or the cortex sets that limit has been disputed for decades. Raghunathan’s recordings favor the cortex: a population of neurons there must fall back to its resting rate after the first click before the auditory system can resolve the two clicks. As used in the text, what does the word “resolve” most nearly mean?

    • A settle

      resolve に「解決する」という語義があるのは事実です。ただし「解決する」は、問いや争点を相手に取る動詞です。本文でこの動詞が働きかけている相手、つまり object(目的語)は the two clicks、二つの音そのものです。本文に出てくる争点は「限界を決めているのは耳か皮質か」の一つだけで、しかも本文はそれを has been disputed for decades と書いたままにしています。Raghunathan’s recordings は favor the cortex、つまり皮質側を支持するにとどまり、決着をつけたとは書かれていません。しかもその争点に関わっているのは Raghunathan であって、聴覚系ではありません。settle を選びたくなるもう一つの理由は、同じ文に fall back to its resting rate があることです。しかし「落ち着く」のはニューロンで、それは before の前に置かれた条件であって、クリック音に対してする仕事ではありません。

    • B combine

      「一つにまとめる」を選びたくなるのは、本文に listeners hear a single sound とあるからです。しかし一つにまとまるのは、二つの音が約2ミリ秒より近いとき、つまりニューロンがまだ resting rate まで戻れていないときに起きることです。この文が述べているのは、ニューロンが resting rate まで戻ったあとに聴覚系が何をできるようになるか、です。そのとき聞き手は the same listeners hear two、つまり二つとして聞いています。条件の向きが逆です。

    • C(正解) distinguish

      正解です。本文は、二つのクリック音が約2ミリ秒より近いと listeners hear a single sound、間隔を少し広げると the same listeners hear two と書いています。この文脈で聴覚系に求められている仕事は、近接した二つの出来事を二つとして見分けることです。resolve は「近すぎて一つに見える(聞こえる)ものを、別々のものとして見分ける」という意味で使えます。カメラや望遠鏡の resolution(解像度)と同じ語義です。

    • D record

      本文の recordings は Raghunathan が装置で取った神経活動の記録で、聴覚系がしていることではありません。近くにある単語に引かれた選び方です。2ミリ秒の境目で変わるのは、聞き手に一つの音として聞こえるか二つとして聞こえるかであって、音が記録されるかどうかではありません。resolve に「記録する」という語義もありません。

    日本語話者がハマる理由

    単語帳で resolve に最初に並ぶ語義は「解決する」で、次が「決意する」です。しかも本文には has been disputed for decades という、まさに「解決」しそうな論点まで置いてあるので、A の settle が正解に見えます。英語の resolve にはもう一つ、「近すぎて一つに見えるものを、別々のものとして見分ける」という語義があります。日本語ではこの二つが「解決」と「解像」という別の漢語に分かれるため、一つの英単語が両方を覆っていることに気づきにくくなります。手がかりは resolution です。カメラや画面の「解像度」は、細かい二点を二点として写し分ける能力のことで、この問題の resolve と同じ語義の名詞形です。resolve を見たら「解決」だけでなく「解像」も候補に入れてください。

  12. 12意味を文がしぼる

    知っている単語でも、意味は辞書の一番目ではなく文章が決めます。とくにその語が何かと対比されているときは、対比が意味を一つにしぼります。instead / rather than / unlike / whereas / not ... but のような contrast marker(対比の目印)を探し、それが打ち消している中身を先に読み、その反対側に当たる意味をその語に与えてください。打ち消されている相手がはっきりすれば、語の意味も一つに決まります。

    確認のしかた:対比の目印を丸で囲み、そこから打ち消されている内容まで矢印を引き、その内容を自分の言葉で声に出してから、その反対を言ってください。選択肢を見るのはそのあとです。

    問題と、選択肢ごとの解説(答えが出ます)

    A sixteenth-century altarpiece had darkened beneath a varnish that age had turned into a brown haze, and flakes of its paint had fallen away; the conservator Irene Balázs described the treatment she proposed as conservative. Restorers of the 1930s would have stripped the varnish down to the bare paint, filled every loss with plaster, and repainted the filled areas in colors they judged close to the original. Balázs instead thinned the varnish only far enough that the figures could be made out from across the room, and she left the losses unfilled. As used in the text, what does the word "conservative" most nearly mean?

    • A(正解) cautious about how much of the altarpiece it would change

      正解です。instead は、直前に書かれている1930年代のやり方を打ち消す contrast marker(対比の目印)です。1930年代の修復士ならニスを絵具の層まで剥がし、欠損部をすべて石膏で埋め、その上から元の色に近づけて描き直していたはずです。Balázs はその反対側に立っていて、ニスは人物が部屋の向こうから見分けられる程度までしか薄くせず、欠損部は埋めないままにしています。つまりここでの conservative は、作品に加える変更をできるだけ小さくとどめる、という意味です。

    • B modeled on the practice of the earlier restorers

      instead は、Balázs の処置が1930年代のやり方と同じではなく、その反対であることを示す語です。conservative を「以前の修復士のやり方にならった」と読むと、instead が作っている対比そのものが消えてしまいます。この文章で以前のやり方を引き継いでいる人物は一人もいません。

    • C aimed at returning the altarpiece to its original appearance

      作品を元の見た目に戻そうとしたのは1930年代の修復士のほうです。彼らは欠損部を石膏で埋め、元の色に近いと判断した色で描き直しました。Balázs がニスを薄くするのをやめる基準は「人物が部屋の向こうから見分けられる」ところまでで、元の色が戻るところまでではありません。欠損部も埋めないままです。conservation(保存修復)という話題につられてこの意味を選ぶと、文中で誰が何をしたのかが入れ替わります。

    • D meant to leave the altarpiece's appearance unchanged

      方向は合っていますが、強さが行き過ぎています。Balázs は何もしなかったのではなく、実際にニスを薄くして、茶色いかすみに沈んでいた人物が部屋の向こうから見分けられるようにしています。見た目は確かに変わっています。conservative がここで示しているのは「変更の量が小さい」ことであって、「見た目を変えない」ことではありません。方向が同じでも強さが違えば、それは別の語の意味です。

    日本語話者がハマる理由

    conservative を辞書で引くと、最初に出てくる訳語は「保守的」です。日本語の「保守的」は、古いやり方を守る・新しいものを受け入れない、という意味にほぼ固定されているので、B の「以前の修復士のやり方にならった」がそのまま訳語に重なって見えます。英語の conservative には a conservative estimate(控えめな見積もり)のように「手を広げず、控えめに」という別の意味があり、この文が選んでいるのはそちらです。「保守的」という訳語は変更の量を表さないので、D の「見た目を変えない」との区別もつきません。さらにこの文章は conservation(保存修復)の話なので、conserve(保存する)と形が似ていることから C の「元の姿に戻す」にも引かれます。訳語を一語あてはめる代わりに、instead が打ち消している1930年代のやり方を読み、その反対側に当たる意味を取ってください。

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